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  • モードに革命をもたらした、伝説のクチュリエール

現代に息づく、マダム・グレのデザイン哲学とスピリット

マダム・グレがモードにその魅力と可能性を見出し、ストイックに追い求めたのは“布と人間の身体の完璧な調和”。「クチュールは第二の肌」「服とは、着る人の魅力を100%引き出すもの」という考えのもと、プリーツ、ドレープ、構築的なフォルムといった彼女ならではの技術と手法を駆使し、次々と完成度の高いドレスを生み出した。約60年の間絶えず磨き上げられてきた技術と手法は芸術の域に達し、現在では各国の美術館に展示されている作品も多い。時代を超えた存在感を放つドレスたちは、今なお多くの人々を魅了している。

幾重にも細かなプリーツを重ね、ギリシャ彫刻を思わせるデザインと流れるようなフォルムを湛えるドレス。身体そのものをデザインするかのようなシンプルで構築的なフォルム。モダンで斬新なカッティング……現代にあっても普遍的でタイムレスな魅力を放つ作品により、マダム・グレはモード界における“ミニマリズムの先駆者”“フランスの伝統の偉大なる継承者”とも称されている。

アートを創作するかのように、自由かつ斬新な感性で洋服をデザインしてきたマダム・グレ。普遍性と現代性をもち、時代を超えて訴えかけてくる彼女の強い力は、現在においても多くのクリエイターたちを刺激し、インスピレーションを与えている。彼女が残した偉大な足跡、そしてデザイナーに与えた影響について、2011年にパリで開催されたマダム・グレの回顧展のキュレーターを務めたオリヴィエ・サイヤール氏はこう語る。「意識的・無意識を問わず彼女の影響を受けたデザイナーやクチュリエは数多く存在すると思います。なかでも一番正統な後継者はアズディン・アライアではないでしょうか。彼はマダム・グレ同様、女性の身体を中心にクリエーションを行う“身体の彫刻家”。ドレープを使わずとも、彼女のデザインを継承する“彫刻”という言葉が与えられるデザイナーといえます。また、おそらく無意識であるかと思いますが、山本耀司のドレープやアシメトリー、ハイダー・アッカーマンの流動的なロングシルエットのコレクションは時にマダム・グレの美学を想起させることがあります」。回顧展に際して、デザイナーのヒロコ・コシノ氏も「全く時代を感じさせないどころか、今見ても驚くほど新しさのあるデザイン。テクニックに関しても、現代でも再現の難しい高度な技術が駆使されています。まさに時代を超えた作品であると感銘を受けています」と語っている。

シンプルとミニマルのなかに複雑なテクニックが内包された彫刻的なドレス……現代の感性をも揺さぶるマダム・グレの時間を超越した独創的なデザインとクリエイティビティは、今なお受け継がれ、品質や着心地の追求とともに、トレンドに流されることのない真のエレガンスを提案している。

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